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抗精神病薬の副作用・錐体外路症状について

抗精神病薬の服用には体のさまざまな動きがおかしくなる錐体外路症状(パーキンソン症状・アカシジア・急性ジスト二ア)があります。抗精神病薬の副作用・錐体外路症状について紹介していきます。

抗精神病薬の副作用・錐体外路症状

パーキンソン症状・手の震え
抗精神病薬によって、体のさまざまな部分に、おかしな動きをする副作用があらわれることがあります。このような副作用を錐体外路症状と呼びます。錐体外路とは、大脳皮質から始まる神経経路で、筋肉の伸び縮みを調節して、体がスムーズに動くようにコントロールする運動系の中枢のことをいいます。錐体外路が障害されると、体が思うように動かせなくなったり、逆に、意思に反して、かってに動いたりする症状があらわれます。患者さんが、薬に対して不安になることの多い副作用といえます。目に見えて異変がわかるため、何か重い病気になったのではないかと必要以上に心配して、それが薬への忌避感へとつながってしまうこともあります。そこで、どんな副作用が起こるのかを紹介していきます。あらかじめどのような症状になるか知っていれば、患者さんも家族も、過剰にあわてずに受け止められるでしょう。抗精神病薬で起こる錐体外路症状には、大きく分けて3つあります。

●パーキンソン症状

抗精神病薬は、主にドーパミンを受けとる受容体を遮断して、ドーパミンが働けないようにします。このドーパミンが働けない状態というのは、パーキンソン病が発症するメカニズムと似ているため(パーキンソン病はドーパミンが不足する病気です)、パーキンソン病とそっくりな症状(パーキンソン症状またはパーキンソニズムとも呼ぶ)を持つ副作用があらわれることがあります。ドーパミンは、体を動かすオイルのような役割をする神経伝達物質です。これがうまく働かなくなるため、手(指先)がふるえる、筋肉がかたくなって硬直する、よだれが出る、仮面のような無表情の顔つきになる、といった症状があらわれます。薬との相性は人それぞれですが、だいたいは、薬の量がその患者さんにとって多めのときに、こういった副作用があらわれます。

●アカシジア

アカシジアは、「静座不能」とも呼ばれます。「じっとしていられなくなる」状態です。人によっては、何の用事もないのにせかせかと歩き回ったりします。また、横になって寝ているときも足がむずむずする、テレビなどを見ていても1カ所にじっと座っていられない、貧乏ゆすりがひどくなる、といった状態になることもあります。アカシジアは、幻覚や妄想をやわらげる薬を服用するとよく起こりますが、薬だけが原因とは限りません。患者さんの気持ちが焦っていたり、不安感が強いときに起こりやすくなります。なので、アカシジアの対処には、副作用の治療薬だけでなく、不安定な心理をほぐすような精神的なフォローも必要になります。

●急性ジスト二ア

筋肉、特に首筋の筋肉の片側が収縮し、右か左、あるいは後ろのほうに傾いてしまって、反対側には戻しづらくなります。まるで、首がひきつれたような状態になります。また、目の動きを調節する筋肉が収縮することもあります。そうすると眼球が上のほうに向いてしまって、下が見づらくなります。舌がこわばって、話しづらくなることもあります。非常に奇妙な筋肉の動きをみせるので、薬による副作用と知らない人からは、てんかんの発作と間違えられることがあります。患者さんや家族の中にはショックを受ける人もいて、薬をいやがる気持ちに拍車をかけてしまうこともあります。しかし、これは一時的な症状なので、薬で治療することが可能であり、予防する薬もあります。障害は残らないので、必要以上に心配しないようにしましょう。

錐体外路症状の対処法

錐体外路症状は、抗パーキンソン薬(ビペリデン、プロメタジンなど)によって改善することができます。上記のような副作用があらわれた時は自分で判断せずに、なるべく早く医師と連絡をとって対処するようにしましょう。