抗精神病薬の副作用・悪性症候群・遅発性ジスキネジア(症状・対処法)

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抗精神病薬の副作用・悪性症候群・遅発性ジスキネジアについて

抗精神病薬の副作用で注意が必要なのが悪性症候群と遅発性ジスキネジアです。抗精神病薬の副作用・悪性症候群・遅発性ジスキネジアの症状や対処法について紹介していきます。

●遅発性ジスキネジア

遅発性ジスキネジア・腰が曲がる
患者さんや家族が、薬に対して不安を抱く、最も大きな原因になるといわれる副作用です。遅発性ジスキネジアとは、主に舌や口の不随意運動(自分では動かそうと思っていないのに、意思に関係なくかってに異常に動いてしまう現象)のことをいいます。もぐもぐと噛むしぐさをしたり、吸い込んだり、舌であごの皮膚を押し出したり、舌を鳴らしたりします。さらに、腕や足、稀に体全体が痙攣するように動くこともあります。抗精神病薬を、大量に飲んだり、長期間飲んだ人にあらわれやすい症状です。
つまり、薬の総服用量と密接な関係がある副作用ということになります。幸い、遅発性ジスキネジアがあらわれた人の60%くらいは、舌や口唇が震えたり、足を踏みならす程度の軽い症状ですみます。しかし重くなると、腰から上の上半身が曲がったり、腰を突き出すような姿勢になったり、体全体が曲がったりすることもあります。残念なことに、遅発性ジスキネジアは一度起こってしまうと、改善が困難で、治療法も見つかっていません。高齢者に起こりやすく、男性よりも女性に多い傾向があるようです。

対処法

病気の状態によっては、抗精神病薬を少なくして抗不安薬と併用するという方法もあります。抗不安薬には、遅発性ジスキネジアを起こす危険性がない為です。また、非定型の抗精神病薬は、遅発性ジスキネジアがあらわれにくいという特徴があるので、定型抗精神病薬を飲んでいて、この副作用があらわれた患者さんには、非定型抗精神病薬に切りかえるという方法も考えられます。医師は、長期にわたって多くの種類の薬を大量に処方するのを避け、薬は必要なときにしっかり使い、状態が安定したら、患者さんに少量の薬をコツコツと飲み続けてもらうのが、いまのところ最良の予防法といわれています。

●悪性症候群

めったに起こらない副作用ですが、もし起こってしまった場合は、緊急に対処する必要がある副作用です。時には命に関わることもあるからです。悪性症候群とは、突然40度以上の高熱を出して、筋肉が硬直し、意識障害を起こして昏睡状態に陥り、汗をかき、頻脈もみられる、といった極めて危険な状態です。一種の薬への中毒反応ということ以外、なぜこのような副作用が起こるのか、はっきりしたことは解明されていません。
【対処法】
自宅でこのような副作用が起こってしまった場合、すぐに医師に連絡し、患者さんを病院に運びます。精神科の治療はいったん中止してでも、内科の協力を得て、集中治療室で全身管理をしながら、薬(ダントロレンナトリウムなど)で治療します。